特定同族会社に該当する場合とその論点の整理

2020年5月20日

ちょっと気を抜くと、あれっこれって特定同族会社だっけ?と不安になるのでまとめました。

どのようなケースで特定同族会社に該当することとなり、また、特定同族会社に該当する場合には、税務上どのような論点があるのかを整理しています。

Summary


判定対象会社の資本金が1億円超の場合で特定同族となるケース

資本金1億円超の会社の場合以下のような資本関係で特定同族となる。(A,B,C,α,βは株式会社とする)
要件:被支配会社による50%超の保有


判定対象会社の資本金が1億円超の場合に特定同族会社となるケース

 


判定対象会社の資本金が1億円以下の場合で特定同族となるケース

資本金1億円以下の会社の場合以下のような資本関係で特定同族となる。(A,B,C,α,βは株式会社とする)
要件:資本金5億円以上の会社による完全支配+被支配株主による50%超の保有


判定対象会社の資本金が1億円以下の場合に特定同族会社となるケース

 

特定同族会社に該当する場合の留保金課税

特定同族会社に該当する場合には、留保控除額を超える留保額に対して課税がなされる。


留保金課税額の計算(法人税法67条)

 


特定同族会社の判定


留保金課税の適用を受ける特定同族会社とは、発行済み株式の50%超を1株主グループにより支配されている会社(被支配会社)であって、当該1株主グループの株主等のうち発行済み株式の50%超を1株主グループにより支配されていない会社(すなわち被支配会社でない会社)を判定基礎から除いても被支配会社となるもの(資本金または出資金の額が1億円以下であるものについては、大法人(資本金5億円以上である法人)、相互会社等による完全支配関係がある普通法人等に限る)をいい、清算中の会社は除かれる。(法人税法67条1項)

上の図の例では登場人物として株式会社を想定していますが、上記の特定同族会社の定義から、判定対象会社の株式の50%超を個人が保有している資本金1億円超の会社は特定同族会社となります。

1株主グループとは

ここで、1株主グループとはどの範囲を指すのかが問題になりますが、1株主グループとはある株主Aについて、当該株主Aと特殊関係にある個人および特殊関係にある法人をいい(株主Aグループ)、当該株主Aグループひとまとまりの持株割合にて特定同族会社の判定をすることとなります。※持株割合の判定にあたっては自己株式は分母から除かれます(法人税法2条1項10号)。

また株主等と特殊関係のある個人とは、①株主等の親族(6頭身以内の血族及び3親等以内の姻族)、②株主等と事実上の婚姻関係にあるもの、③株主等の使用人(株主等が個人の場合)、④ ①~③以外で株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの、⑤ ②~④と生計を一にするこれらの親族をいいます(法人税法施行令4条1項)。

また株主等と特殊関係のある法人とは、株主等並びに株主等と特殊関係のある個人及び法人が発行済株式総数の50%超を有している会社といいます(法人税法施行令4条2項~3項)

以上から分かるように、特定同族会社の判定のしやすさは、判定対象となる会社の株主構造(特殊関係のある株主の多さ・複雑さや株主の変動の頻度、資本関係の複雑度)に依存するので、場合によっては(税務リスクは残ると思いますが)判定を保留にしているケースもあるかもしれません。
※特定同族会社となるかどうかを判定する時期は当該事業年度終了の時です(法人税法67条8項)。

完全支配関係とは

また、特定同族会社の判定にあたって、資本金または出資金が1億円以下であるものは、大法人等による完全支配関係があるものがその対象になりますが、完全支配関係の意義は以下になります。

 完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する一定の関係又は一の者との間にその一定の関係がある法人相互の関係とされています(法2十二の七の六)。
 この一定の関係とは、一の者(その者が個人である場合には、その者及びその者と一定の特殊の関係のある個人)が法人の発行済株式等(注)の全部を保有する場合におけるその一の者とその法人との間の関係(以下「直接完全支配関係」といいます。)とされています(令4の2②)。
 また、その一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又はその一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の法人の発行済株式等(注)の全部を保有するときは、その一の者は当該他の法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなされます(令4の2②)。

(注) この発行済株式等からは、発行済株式(自己株式を除きます。)の総数のうちに次の①及び②に掲げる株式の数を合計した数の占める割合が百分の五に満たない場合のその株式を除くこととされています(令4の2②)。
①その法人の使用人が組合員となっている民法第667条第1項に規定する組合契約(その法人の発行する株式を取得することを主たる目的とするものに限ります。)による組合(組合員となる者がその使用人に限られているものに限ります。)のその主たる目的に従って取得されたその法人の株式
②会社法第238条第2項の決議によりその法人の役員又は使用人(その役員又は使用人であった者及びその者の相続人を含みます。以下「役員等」といいます。)に付与された新株予約権の行使によって取得されたその法人の株式(その役員等が有するものに限ります。)

国税庁 完全支配関係と連結完全支配関係の意義

例えばある法人が、他のある法人の発行済株式の全部を保有している場合には完全支配関係があることとなります。

発行済株式の総数から除かれる株式として、当該法人の組合保有の株式や新株予約権の行使により役員等が保有している株式について定めがあるので留意が必要です。

特定同族会社の税務論点


特定同族会社の税務論点として、留保金課税がされる点があげられます。

留保金課税

留保金課税とは、対象となる会社の各事業年度の留保金額について、留保控除額を超える部分について課税がなされるものになります(法人税法67条1項)。

留保金額の計算

留保金額は、別表4の留保所得金額から、法人税ならびに道府県民税及び市町村民税(都民税を含む)の額を控除したものとなります(法人税法67条3項)。

また、法人税法67条4項に以下のように記載があるので、例えば、当該年度末が配当基準日となっている配当について、当該事業年度の決算確定の株主総会の時に、その配当の決議をするものについては、その基準日が属する年度において支払われたものとされ、留保金額から控除して金額を算定することとなります。

特定同族会社の前項に規定する留保した金額の計算については、当該特定同族会社による剰余金の配当又は利益の配当(その支払に係る決議の日がその支払に係る基準日の属する事業年度終了の日の翌日から当該基準日の属する事業年度に係る決算の確定の日までの期間内にあるもの(政令で定めるものを除く。)に限る。)の額(当該剰余金の配当又は利益の配当が金銭以外の資産によるものである場合には、当該資産の当該基準日の属する事業年度終了の時における帳簿価額(当該資産が当該基準日の属する事業年度終了の日後に取得したものである場合にあつては、その取得価額)に相当する金額)は当該基準日の属する事業年度に支払われたものとし、当該特定同族会社による金銭の分配(投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配をいう。)の額はその支払に係る基準日の属する事業年度に支払われたものとする。

法人税法67条4項

 

留保金課税金額の計算

留保金課税として課税される金額は、算出した留保金額から留保控除額を控除し、金額区分に応じて税率をかけて算出します(法人税法67条1項)。

留保控除額は以下のうち最も多い金額になります(法人税法67条5項)。

  1. 当該事業年度の所得等の金額の40%に相当する金額
  2. 年二千万円(※当該事業年度が1年に満たない場合は月数で案分計算をします)
  3. 当該事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額の25%から利益積立金額(当該事業年度の所得等の金額に係る部分の金額を除く)を除いた金額

そして、留保金額から留保控除額を除いた金額に、以下の区分に応じた税率をかけて課税金額(法人税額に加算する金額)を算出します(法人税法67条1項)
※ 事業年度が1年に満たない場合は月数により按分計算をします(法人税法67条6項7項)

  1. 年3,000万円以下の金額 10%
  2. 年3,000万円超、1億円以下の金額 15%
  3. 年1億円を超える金額 20%

 

まとめ


留保金課税の対象となるかどうかのポイントは、資本金(または出資金)が1億円超の会社であるかどうか(または大法人による完全支配関係があるかどうか)、被支配会社であるかどうか、株主等から被支配会社でない法人を除いても被支配会社となるかどうか、でした。

ご覧いただきありがとうございました。

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Posted by kurry