個人事業主ができる節税対策の方法

個人事業主の方が取り組める節税策についてまとめています。

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青色申告への切り替え


青色申告のメリット

青色申告をすることで、最高65万円の所得控除が受けられます。

たとえば、所得税が20%の場合には65万*20%の130,000円の節税効果となります。(No.2260 所得税の税率

また、青色申告をすることで同一生計の配偶者等(青色専従者)に支払う給与(青色専従者給与)を経費に計上することができます。(”青色専従者給与に関する届出書”の提出が必要)

この場合支払われた側においては給与として課税されることになりますが、給与所得については”給与所得控除”が受けれる点、青色専従者給与を経費にすることで税率の低減が望めるため節税の効果があります。

注意点としては、青色専従者になった方は”配偶者控除”や”扶養控除”の対象になれないため、配偶者を青色専従者とする場合で考えると”配偶者控除”の38万円を超える給与の支払いが発生しない場合には青色専従者給与とせず、”配偶者控除”を受ける方が有利となる点や、いくらでも給与として経費処理が認められるわけではなく、”青色事業専従者給与に関する届出書”に記載した範囲内、それも労働の対価として適切の範囲内でしか経費計上ができない点があげられます。

その他、青色申告をすることで赤字を翌期に繰り越すことができるようになります。
青色申告でない場合(白色申告)の場合には赤字は繰り越すことができないため、赤字が発生している場合には節税効果が期待できます。

青色申告をするためには

青色申告路するためには、その年の3月15日までに”青色申告承認申請書”を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(新規開業(その年の1月16日以降に業務を開始)した場合には業務を開始した日から2か月以内に提出)。

その他、原則として複式簿記により期中の取引を記録する必要があるほか所定の帳簿(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳 等)を作成・保管し、確定申告の際には貸借対照表と損益計算書を提出する必要があります。

freeeマネーフォワードなどの会計ソフトを利用すれば、日々の帳簿付けをするだけでそれらの書類を自動で作成してくれます。

経費にできるものを経費に


経費(収入を得るために必要な費用)の計上もれをなくすことで、所得を抑え、税率の低減、節税の効果が見込めます。(No.2210 やさしい必要経費の知識

プライベートと仕事で兼用しているもののに係る費用(家賃、車、水光熱費など)については合理的な基準で事業に必要な部分を区分できる金額に限り、必要経費に算入することができます(家賃は使用面積、車は平日使用分など、合理的に説明可能な基準に基づいて区分)。

注意点として、事業割合が50%以上の場合、住宅ローン控除の適用が受けられなくなる点が挙げられます。No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

開業費の利用


開業費とは

個人事業主が開業日より前に支払った開業のための準備費用のことを言います。

開業日とは

税務署に提出する開業届に記載している開業日となります。

開業費にならないもの

開業費は、開業日までにかかった開業のための準備費用ですが、以下の費用は開業費となりませんので注意が必要です。

  • 売上原価になるべきもの(仕入費用など)
  • 固定資産として計上すべきもの(10万円以上の資産)

仕入費用については売上が上がった時に経費として費用化します、固定資産として計上すべき10万円以上の資産については、資産の分類に応じて規則的に減価償却する必要があります。

開業費の利用が節税になる理由

開業費は繰延資産に該当するため一旦資産として計上するのですが、開業費は任意償却が認められています。
そのため開業費のうち償却費として未だ必要経費に算入していない金額(未償却残高)については、自分の好きなタイミングで償却費として必要経費に算入することができます。

すなわち利益がたくさん出た年度にまとめて必要経費に算入することで、節税効果が得られることになります。
仮に赤字の年に開業費を必要経費に算入した場合には、欠損金額が膨らむこととなりますが、白色申告の場合には、欠損金は切り捨てられ、せっかくの開業費の節税効果が得られないことになってしまいます。
青色申告の場合にも3年間までしか損失を繰り越すことができないため、3年間で十分な利益を上げることができなかった場合には、欠損金が切り捨てられ節税効果を逃してしまうことになります。

参考 償却期間経過後における開業費の任意償却

開業日前に支払った費用の領収書も保存しておき、確定申告の際には減価償却の計算欄に記載して、未償却の開業費がいくら存在しているのか分かるようにしておく必要があります。

所得控除の利用


所得から差し引くことができる金額として様々な”所得控除”が用意されています。

医療費控除

その年に自身または同一生計の配偶者等のために支払った医療費が一定額を超えるときは”医療費控除”として所得から差し引くことができます。支払った医療費が10万円を超える方は医療費控除によりメリットを享受できる可能性があります。

社会保険料控除

自己または同一生計の配偶者等の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その年に実際に支払った金額または給与等から差し引かれた金額の全額を”社会保険料控除”として控除することができます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等に支払った掛け金は、所得から控除することができます。

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者等の方が、廃業・退職時の生活資金のために掛け金を積みたてることができる制度です。

仮に小規模企業共済等を利用せずに老後の資金を貯金する場合だと、所得税が差し引かれた後の収入が原資になりますが、小規模企業共済等を利用した場合”小規模企業共済等掛金控除”としてその掛け金は所得から控除することができ、また、退職金を受け取る際には一定の”退職所得控除”があるため、節税効果が望めます。

扶養控除・配偶者控除

同一生計の配偶者がいる場合は”配偶者控除”が、同一生計の配偶者以外の親族がいる場合には”扶養控除”が受けられる可能性があります。

対象となる配偶者や親族の所得について条件があるほか、青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けた方や白色申告者の事業専従者の方にについては控除の対象にならない点に注意が必要です。

ideco(イデコ)への加入


idecoへの掛け金も ”小規模企業共済等掛金控除” として所得控除することができます。

さらに対象とする積立商品(預金、投資信託)の利息や運用益についても通常20.315%課される税金がかからず、将来の年金受給、一時金受取の際にも一定の”公的年金等控除額”、”退職所得控除”があるため、大きな税メリットのある制度となっています。

法人化による節税


法人化することで節税になる可能性があります。目安として所得が500万円を超えてきたら法人の方が有利になるといわれています。

所得に対する税率のちがい

法人化が有利になる点として税率の違いが挙げられます。

個人の所得税率が所得の金額に応じて5%~45%で定められているのに対し(所得税の税率)、法人の所得にかかる税率(法人税、地方法人税、事業税、住民税 法人税割)の税率は、所得800万円までの部分が20%ちょっと(中小法人、事業税軽減税率適用法人)、所得800万円を超える部分が30%ちょっとで推移しています。
そのため、コンスタントに500万円以上の所得が出ている場合が、法人化検討の目安といわれています。

収入を役員報酬として受け取る

例えば現在個人事業主として500万円の所得を得ている場合、その500万円に対して所得税が課されることになります。

法人化することで、500万円を役員給与として自身に支給することで、法人の所得計算上500万円を差し引く(損金算入する)ことができます(役員賞与の損金算入には諸要件があります。No.5211 役員に対する給与)。

また、自身が受け取った役員報酬については、給与所得として”給与所得控除”(給与所得500万円だと約150万円が控除されることとなります)が受けられるため節税効果が望めます。

個人事業主として所得が500万円くらいで考えると、個人事業主の場合60万円程度、法人(+個人の給与所得)で30万円程度の納税が生じるものと予想されます。
※個人事業主としては所得税、事業税の納付、法人+給与として、法人は所得0、給与所得の所得税、法人住民税均等割の納付が発生するものと仮定した場合。

消費税免税期間の利用

個人事業主の場合、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合等には、消費税を納税しなくてはなりません。(消費税のしくみ

法人を設立した場合、初年度および次年度は、消費税の納税義務がなく免税事業者となるのが通常となります。

そのため、消費税を納付している個人事業主が法人設立し、免税事業者として納付義務がなくなることで、税メリットを受けられることが想定されます。

法人化のデメリット

会社設立にあたって諸費用が発生します。登録免許税等で20~30万円程度となります。

所得が発生していない場合でも、法人住民税均等割の納付義務があります。東京特別区内に従業者数50人以下の事務所を1つ有する場合で7万円の均等割が発生します。

社会保険への加入が義務となります。(個人事業主で従業員5名未満の場合は任意)
そのため社会保険に関する手続きや従業員分の社会保険料( 給与の15%程度 )の法人負担が発生します。


法人化まとめ

法人化することで、節税メリットが得られる一方で、雇用関係の負担の増加や税務処理の煩雑化といった面もあります。

また、節税メリットを得られるかどうかは個々のケースにによって異なるため、税理士などの専門家へのご相談をおすすめします。

会計ソフトのfreeeマネーフォワード弥生シリーズなどでも会社設立のサポートを行っています。

また法人化に際しては税務や人事労務管理も煩雑になってくるため、人事労務ソフトの導入や、顧問税理士との契約のご検討もおすすめします。
参考 人事労務管理ソフト 人事労務 freeeSmartHR

消費税申告方法の選択


個人事業主の場合、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合等には、消費税を納税しなくてはなりません。(消費税のしくみ

消費税の納税額の計算は、

売上について受け取っている仮受消費税 ー 仕入れにあたって支払っている仮払消費税

大まかに上記の式で計算されます。

控除する仮払消費税の金額の計算方法は選択可能な場合があるので、有利な方法を選択することによって節税できる可能性があります。(No.6401 仕入控除税額の計算方法)その一つが下で紹介している簡易課税制度になります。

簡易課税制度

簡易課税制度とは、課税売上高に対する一定割合(みなし仕入率)を仕入控除税額として計算することができる制度です。(No.6505 簡易課税制度

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引用元 No.6505 簡易課税制度

簡易課税制度を適用するには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下で”消費税簡易課税制度選択届出書”を事前に提出していることが必要です。

消費税の計算シミュレーションのうえ、節税が望める場合には、ご検討をおすすめ致します。

還付を受けることができる場合

免税事業者となっている場合でも、還付を受けることができる場合があり、 あえて課税事業者を選択するケースもあります。

例えば、輸出売上が多い場合や、多額の設備投資をしたような場合に、受け取った消費税よりも支払った消費税の方が多くなるケースが考えられ、還付となる可能性があります。

免税事業者が課税事業者になるためには、 ”消費税課税事業者選択届出書” を適用を受けようとする課税期間が始まる前に提出する必要があります(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)。

また”消費税課税事業者選択届出書”を提出して課税事業者となった場合には、2か年は課税事業者を継続する必要があるため、還付となる状況が一時的である場合は注意が必要です。

消費税選択 まとめ

消費税の計算方法を変更することで節税となる可能性があります。

また、消費税の課税事業者となる個人事業主の方は、法人化による節税メリットも受けられることが想定されます。税理士等への専門家へのご相談も検討されることをおすすめ致します。

また、個人事業主の方で利用されている方も多いfreeeマネーフォワード弥生シリーズなどの会計ソフトは、消費税申告にも対応しています、これから消費税の課税事業者となる方にもおすすめです。

キャリアアップ助成金の利用


キャリアアップ助成金は、厚生労働省が取り組んでいる助成金制度です。

非正規雇用労働者のキャリアアップを促進する目的とする制度であり、有期雇用労働者の正社員化や処遇改善の取組を実施した事業者に対して助成する制度です。

助成金は、例えば有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合の助成として1人当たり57万円等です。

助成金の受給にあたっては、雇用保険適用事業所の事業主であることやキャリアアップ計画の作成・管轄の労働局長からの認定、対象労働者の賃金台帳・出勤簿などの書類の整備、就業規則等の整備が必要になります。

キャリアアップ助成金の申請にあたっては、様々な資料の整備が必要になるほか、事前にスケジュールを立てて取り組んでいく必要があり手間もかかります。そのため既に事業がある程度の規模になっており、手続きに時間を充てることができ、助成のメリットがそれなりに見込める事業者様に特にご検討をおすすめします。

また、賃金台帳・出勤簿などの一部書類の整備に関しては、人事労務 freeeSmartHRなどの労務管理サービスでも作成可能です。

まとめ


以上、個人事業主が利用できる節税対策などを紹介させていただきました。

基本的には、経費として所得から差し引けるものを差し引くこと、切り捨てられている欠損金を利用する方法がないかを考えることが節税につながります。

節税につながるものが見つかりましたら幸いです。